お金で先端を切ろうと始めるダディーを試すような女心という神業

己はただ「そう」と今日聞いたことを受け流した。
こういう年になると様々な重圧を抱え込んでいてもおかしくはないし、いまどきその程度のことなどめずらしくも甚だ思わなかった。
己はおそるおそるN・Aに尋ねてみた。
「幼子は?」
「いたらもっと悲惨なことになってるよ。下手したら、わたくしがこの世に存在してないわ」
と、N・Aはその当時の波乱に満ちた非通常を振り返る。
それから己たち両者はお互いの難儀を、時として小気味よいジョークをも交えつつ三々五々、ぶつけ当てはまる。
その間も、言葉の区切り区切りで幾度となく彼に対する引け目を憶えながらも。
「何かと大変ね」
「おや。お互いに」
不本意ながらも、グダグダと喋っているうちにN・Aと己は洗いざらいと打ち解けてしまっていた。
「今日は会えて良かった」
己はそんなふうに言い残して帰ろうとすると、しばしゆっくりしていけばいいのにというような態で理由してきた。
「そういった目線、しても水泡ですぞ。これ以上は何も出ないし、描き出す意図もねえ」
己はそう言って千円表示二枚を礼仲介とばかりにカウンターに叩きつけた。